稽古場日誌

池上show劇場 斉木 和洋 2020/08/04

不要不急

演劇は不要不急な存在である。
演劇のところに何か適当な言葉をあてはめてみたらよくわかる。
例えば、野球は不要不急な存在である。
何が楽しくて、子供だけでなく、いい大人たちが小さな球を棒っきれでひっぱたき、その行方に一喜一憂しなくてはいけないのか。
どれほどそれを愛好する人たちがいて、古くから存在して歴史があって、それによって経済が回ってお金を産んで、また精神的に助けられている無数の人たちがいようとも、これを機会にこの世から無くなってしまったとしても、何の痛痒も感じない人がこの世にはたくさんいるのである。
野球でピンと来なければ、インドの国技であるカバディでも、モンゴル相撲でも盆栽でも何でもよい。
もし、この世から消えて無くなってしまったとしたら、もちろん、悲しみにくれる人たちはたくさんいる。
しかし、無くなっても多分わたしは何とかなるし、何とかなる人たちが、きっとたくさんいる。
水とか空気とか美しい自然とか、失ってはいけないものもあるが、残念ながら演劇はそうではない。

そうではないが、わたしは表現することがやめられないのです。
申し訳ありません。

今月28日に、わたしが演出するひとり芝居を4本上演します。
『半畳の宇宙~ひとり芝居シリーズ~』
出演するのはすべて山の手事情社の若い俳優たちです。
会場の換気、人が触れる可能性がある場所の消毒、手指の消毒、検温、俳優とスタッフの体調管理、マスク着用の徹底、人との間に距離を設けることなど、基本的な新型コロナウィルス対策は当然のこととして、俳優からの飛沫を防ぐために、舞台と客席の間にビニールシートを設置して上演します。
また、客席も密な空間にならないようにしますので、1ステージ10名様までとさせていただきます。

それでも、この時期に観劇をすることは怖いと感じるかもしれません。
今回、全ステージを無料で配信する予定ですので、会場にお越しになれない方は、是非そちらをご覧ください。
詳しくは、後日改めてお知らせします。
カメラを置きたい一番良い場所にはお客様がいらっしゃいますので、カメラのベストポジションが取れません。
見づらい角度からの映像とはなりますが、できるだけがんばります。
この先、世の中がどうなるかわからず不安な気持ちになりがちですが、今回の作品を観ることで、少しでも愉快な気持ちになってもらえたら幸いです。

とはいいつつ、新型コロナウィルスの影響によって、予定通り公演が上演できない可能性があります。
その場合は、劇団のホームページにてお知らせします。

斉木和洋

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池上show劇場vol.8『半畳の宇宙~ひとり芝居シリーズ~』
2020年8月28日(金)
詳細は こちら をご覧ください。

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