稽古場日誌
良くも悪くも自分の人生は、好奇心によって彩られてきた。
山の手事情社の研修生になることを決めた時だってそうだ。
なんだこりゃあ! と、たまげたのは「一日体験入団」でのこと。
「ボクは自在に鳥肌を立てることができます」
その日のワークショップ終わりに、そう話したのは担当インストラクターUさん。
「まさかあ! 」
と言い放ったわたしの前に、おもむろに袖をまくり上げ、腕を見せるUさん。
すると……
見る見るうちに、その腕にはブワワワワッと鳥肌が立ち始めた。
鳥肌とは自らの意思で自由に立てられるものだったろうか? Uさんは語る。
「舞台上でどうしたら自分の身体を大きく見せられるか考えていたら、ある時期から舞台へ出ていく前に肌寒く感じた。腕を見たら、鳥肌が立っていた。それからです、自由に鳥肌が立てられるようになったのは」
なるほど。わからない。
わからないが、自在に鳥肌を立てる人間をそれまでに見たことがなかったのは確かだ。
そしてそこまで人が追い詰められる場所とはどんなものか……覗いてみたい。好奇心が揺さぶられる。
そういう訳で劇団の門を叩き、研修生だけでは飽き足らず、劇団員にまでなってしまった。
在籍して5年目……まだ鳥肌を立てることはできない。
果たして自分も自在に鳥肌を立てることができるのか……
鳥肌への好奇心、未だ衰えることを知らず。
鳥肌に限らず、人間ってすごいな、こんなことができるのか、と
日々の稽古や仲間たちとの触れ合いの中で感動することが多々あり、わたしの好奇心は尽きることがない。
この好奇心がある限り自分は劇団員を続けるのだろう。
松永明子
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