稽古場日誌
馬込文士村 空想演劇祭 渡辺可奈子 2023/11/17
今年も馬込文士村空想演劇祭の季節がやって参りました。
今回上映される映像作品は２作品。きたまり/KIKIKIKIKIKIさん（以降、きたまりさん）の『横笛』と、私も出演する劇団 山の手事情社の『片腕』です。
今回は出演だけでなく『横笛』の撮影現場ではスタッフとして、きたまりさんと背格好が近いと言う事から、スタンドインのお手伝いをしました。出演者の代わりに立ち位置に立ち、チェックするために代役をする仕事です。きたまりさんのイメージする映り方をポイントごとに再現して、ご本人にチェックしてもらうのですが、スタンドインしている私は私だけど私ではない、何者でもない私がそこにいるようで少し恥ずかしかったです。
それ以外の時間は、スタッフ作業をする傍で撮影を拝見していました。一般的な劇場とは違い、幕もなく無限に広がる舞台でカメラやマイクがワラワラと構えられていて、一挙手一投足を撮り逃すまいと集中している中で芝居する様子は、演劇の舞台とはまた少し違う緊張感がありました。
撮ったシーンを見せてもらうと、そこには綺麗に演技だけが切り取られた世界が映し出されていて、今まで当たり前に見ていた映像作品の見方がガラリと変わるような衝撃でした。実際その場に見えていた景色よりも美しく切り取られた世界は、見たいものだけを見ることが出来る、まさに空想のように思えるのでした。
今回、私が出演する『片腕』もこれから撮影が行われる予定です。稽古は始まったばかりで、どんな作品になるのか未知数ですが、演出の斉木さんらしいアクロバティックな作品になるのではないかと期待しています。川端康成が描いた、女の片腕とそれを借りた男が一晩を共にすると言う、幻とも夢ともつかない妖美な物語が、演劇の力でどのように繰り広げられていくのか、どんな空想の世界が出来上がるのか……？ 乞うご期待。
渡辺可奈子
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馬込文士村 空想演劇祭2023 作品上映＆演劇公演＋［同時収録］生ライブ
日時＝2023年12月９日(土)・10日(日)
会場＝大田文化の森 ホール
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