稽古場日誌
舞台をおりるとシャイなタイプが多い男優陣のなかで、藍葉悠気は誰とでも話ができるし、とても社交的。大柄だけど物腰がやわらかくプーさんみたいな顔してうんうんと頷きながらひとの話を聞いている。どんなに場が煮詰まっても声を荒げたり、誰かを叱責するようなところは今のところ見たことがない。同期や仕事仲間に対しては母親のように世話を焼き、飲み会のときは手際よく周囲に気を配る。本能的にひとが好きなんだろうと思う。
彼は去年の春、劇団に突然現れた。
『デカメロン・デッラ・コロナ』が終わって間もなくの頃だったと思う。それを観てきたのかと思いきや、商店街で公演チラシをみかけてビビビッときたらしい。
そのまま準劇団員になり、20キロやせて、一年経ったら劇団員になっていた。
アメーバのようなひとだ。ひとの集まるところに自然となじんでしまう。
実はそういう資質ってとても貴重だなと思います。広い視野で演劇の可能性を広げていってほしい。
一方、個々の俳優力が試される山の手事情社で彼の俳優としての可能性はまだまだ未知数だ。舞台の上では普段のように穏やかなままではいられないし、誰かの世話をしている場合でもない。今回初舞台となる『夏の夜の夢』ではボトム役をやるらしい。ボトムといえば、妖精パックの魔法にかけられ妖精の女王と夢のような時を過ごす愛すべき役どころ。
先輩たちに負けず、どんな存在感を見せてくれるか期待しています。
彼のSNSから毎日のように飲み歩く様子が流れてきますが、これもボトムの役作りの一環なのかしら。「ほどほどにね!」ボタンがあればたくさん押すんだけどな!(笑)
越谷真美
※ 写真
『デカメロン・デッラ・コロナ』(2023年)
『僕らはみんな逃げている』(2024年)
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若手公演『夏の夜の夢』
日程=2024年7月27日(土)~8月4日(日)
会場=山の手事情社アトリエ
ご予約受付中!
詳細は こちら をご覧ください。