稽古場日誌

こくごのじかん 喜多 京香太田 成美宮﨑 圭祐草野 明華馬場 玲乃 2022/08/15

『山月記』稽古場より(8/15更新)

公演まで残りわずかとなりました。
発狂寸前、喜多京香です。

「『山月記』に出演します。観に来てね。」
と友人に声をかけると、必ずと言っていいほど、
「虎になるやつだね。」
と返ってきます。
その通り! でも、うーん……。
人間が虎になるって、ぶっとんだ話なのでその件に関してはみんな流しているようです。
しかしここで言う“虎になる”って、実はファンタジーでもなんでもないんですよぉ!
他人事じゃないのです、我々も虎になりかねない!

『山月記』の実験稽古で一度、
《酔っ払いの役になって愚痴を言い合う》
というものをやりました。
酔っ払いが集まって愚痴で盛り上がっていると、少し引きますよね(笑)
しかもちょっと李徴っぽい……。
ちなみに警察署には、泥酔者の保護室があり「虎箱(トラバコ)」と呼ぶそうです。

むむ⁉︎
もしかして李徴って泥酔してるだけ⁉︎
いやいや、まさか。それだけではすまされないほどに思い悩み、発狂する李徴の姿、是非劇場でご覧ください‼︎

喜多京香(8/15追加)

kyoka

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こんにちは。新劇団員の草野明華です。

現在は『こくごのじかん』の公演に向けて、サポートとして『山月記』の稽古場に参加しております。

今までに触れたことのある物語が劇になる過程はとても面白いです。文章を読むだけでは見えてこなかった登場人物たちの輪郭がくっきりしてきます。
たとえば、李徴って難しい人間だと思っていたけれど、意外と「その気持ち、分かる……!」って瞬間があったり。高校の現代文の授業で学んだときより私自身が大人になった、ってことかもしれませんが!

名作は読むたびに新しい発見があるから、愛され続けるのかなあと思いました。
今回の『こくごのじかん』も幅広い世代のお客様に作品の魅力、そして演劇の魅力が伝わるものになると嬉しいです。
そのために今後も試行錯誤して稽古に励んでいきます! お楽しみに!!

草野明華(8/8追加)

sayaka

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こんにちは、『山月記』に出演させて頂きます、宮﨑圭祐です。

李徴は孤独な男でした、周りを見下し、独学で次々と詩を作りました。それ故か出来た詩は一流にはなり切れないものばかり。結局は己の才能に絶望してしまいました。

僕も創作をしていますが、李徴とは違い仲間がいます。故に上手くいかなくて李徴の様に絶望する時もありますが、希望を抱く瞬間もあります。
動画を見返して、皆の動きがシンクロした時や思わずクスってなってしまうシーンが出来た時等は幸せな気持ちになります。
そんなこんなで集団創作の旨味と苦味を何度も味わいながら、味のある芝居作りをしています。
李徴にも共に創作できる仲間がいたなら虎にならなかったんだろうか……ならば、李徴の分も存分に集団創作に耽りたいと思います!

まだまだ先は長いですが李徴も叢の中で唸る様な『山月記』を作り、皆さまと共有したいと思っております。劇場にてお待ちしております!

宮﨑圭祐(8/3追加)

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こんにちは、新劇団員の馬場玲乃です。
この度『山月記』の稽古場で、サポートとして越谷真美の代役を務めております。

堅い言葉で綴られた小説を演劇作品として立ち上げる作業は、刺激的であります。
しかし、私の今までのアプローチでは歯が立たない。一丁前に案を出してみるもダダ滑る!
『山月記』の主人公、李徴も顔負けの羞恥心を抱きます。

格式高い文体とは裏腹に破壊的な物語。
作品も登場人物も中島敦も何処か可笑しいんですよね……。
どう伝えるか、試行錯誤の日々です。

どうぞ、お楽しみに!

馬場玲乃(7/26追加)

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こんにちは。
『山月記』に出演する、喜多京香です。

この話に出てくる李徴という男は、詩人でありながらその才能が開花するに至らず、強い自己嫌悪により虎と化します。
……ちょっと待って! 「虎」になるってなんだよ!
改めてそんなことを考えたり、
結局どんな男なのか?
得体の知れない恐怖や怒りを身体で表現するには?

「どうすればいいのだ」

作中に出てくるセリフは私たち出演者自身にも突き刺さります。
李徴のようにもがき、頭をかかえながら創作した果てに、いったい何が見えるのでしょうか。

国語の可能性を俳優が広げる場、それが、
『こくごのじかん』。
ぜひ親子でお越しいただき、その瞬間を目撃してください。

喜多京香

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『山月記』に出演します。太田成美です。
4作品を同時進行で作っています。
そのため、いい作品を作ろうとそれぞれの作品で切磋琢磨しております。

『山月記』は、虎になった男の話です。多くの方が一度は教科書で出会い、その難解な文章に初めは抵抗感を感じ、これがテストに出るのか……と身構えたのではないでしょうか。

しかし大人になった今、声に出して読んでみると、「格調高雅」な文体は何度でも繰り返し読みたくなる魅力を備えていました。
さらにこれを演劇として、どう魅力的に作っていけるのか……。
何度も作って壊して、本番までにいかに足掻けるかが鍵になりそうです。

演劇はご覧頂いてやっと完成するもの。
李徴のように「尊大な羞恥心」に任せて、作るだけ作って評価を恐れて秘めておくことはできません。
ぜひこの夏の思い出の一つに、『こくごのじかん』をご検討ください。

劇場でみなさまにどう評していただけるのか、緊張と共に楽しみにしております。

太田成美

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『こくごのじかん』
日程:2022年8月19日(金)~20日(土)
会場:大田区民プラザ 大ホール

詳細は こちら をご覧ください。

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