稽古場日誌

馬込文士村 空想演劇祭 安田 雅弘 2019/11/05

観劇のハシゴができる演劇祭③

「演劇祭」って、実は日本のあちこちで開かれていて、私のような専門家にとっては興味深いものが年々増えている印象なんですが、それが必ずしも観劇人口の増加につながっていないところがあるように思います。とにかく観る人、興味を持つ人を増やしたいものです。

本場ヨーロッパでは、日本の方々が想像できないような規模で「演劇祭」が実施されています。
たとえばフランスのアヴィニョンとイギリスのエディンバラのヨーロッパの二大演劇祭。アヴィニョンでは7月の1ヶ月間、毎日ほぼ500~600本の芝居が上演されています。繰り返しますが、「毎日」です。 エディンバラに至っては、8月の1ヶ月、毎日1,500本くらいの芝居がかかっています。とても一人で見尽くすことなどできません。圧倒的な量の演劇がそれぞれの街に集まり、それを 当然のこととして享受し味わっている人々がいるのです。
そして、多くの観客は1~2時間程度の芝居を1日に2本3本4本とハシゴするんですね。合間に食事をしたり、おしゃべりをしたり、観光をしたり。そういう演劇(祭)の楽しみ方が確立しています。
そういう生活スタイルや生活モデルのない中で、日本に演劇祭を根付かせようというのは、なかなかに時間のかかることかもしれません。

山の手事情社が何度か参加させていただいたルーマニアのシビウ国際演劇祭はヨーロッパ三大演劇祭に数えられるのでエディンバラ、アヴィニョンの次あたりの規模になります。
「二大演劇祭に比べるとかなり小さいよね」
と、言われていましたが、それでも10日間で500本以上の公演がありました。日本やアジアの国々の演劇祭では遠くおよばない規模です。
ま、逆に言えば、それくらい演劇というものが、生活に溶け込んでいるんですね。

で、どうしよっか。【馬込文士村演劇祭】どうやって実施する? という作戦会議を開き、ネット配信しました。

「文士村座談会(1)」ROAD TO馬込文士村演劇祭 大田区文化振興協会×劇団山の手事情社
下記URLからご覧になれます。

https://www.facebook.com/tmkt4306/videos/510760706430457/

ぜひご覧ください。というより、何かのついでに「聴いて」いただければ何よりです。こういった配信は腰を据えてガッツリ「見る」というより、仕事の合間や雑用のついでに「聴く」のが正しい鑑賞のしかたではないかと思います。

つづく……

安田雅弘

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観劇のハシゴができる演劇祭①
観劇のハシゴができる演劇祭②

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