稽古場日誌

馬込文士村 空想演劇祭 安田 雅弘 2019/11/05

観劇のハシゴができる演劇祭④

話を「①」に戻しましょう。

そう、迫ってきた11月20日の、無料プレイベントです。
(10月末日が応募〆切でしたが、11月10日まで延長になりました。残席わずかです!)

正式名称は
「OTA アート・プロジェクト
馬込文士村演劇祭立ち上げ企画
リーディング公演&トークイベント」
主催は大田区文化振興協会さんです。

2部構成になってまして、第1部は、「山の手事情社のリーディング公演」です。
具体的には、

山の手事情社の俳優 山本芳郎によるリーディング
『空想部落』(尾崎士郎著)

山の手事情社の俳優 川村 岳・斉木和洋・谷 洋介・中川佐織・名越未央による公演
『しあわせな王子さま』(オスカー・ワイルド著 村岡花子訳)

です。

尾崎士郎は、馬込文士村の中心的存在です。今でも大森駅近くに彼の住んでいた家が記念館として残っています。
『空想部落』は、馬込文士村を題材に書かれたと言われている作品で、昭和11年に出版されましたが、驚いたことに古臭さを感じません。というより戦前て、こんなに明るかったんだ、と意外に感じる内容です。
尾崎がそう考えていたかどうかはわかりませんが、アジアは日本が引っ張っていくんだ! という気宇壮大な当時のわが国の人々の気概のようなものが文章から匂いたってきます。この小説のさわり、一番読み応えのある部分を山本が「読み語り」ます。(写真1枚目 尾崎士郎)

『しあわせな王子さま』の翻訳者・村岡花子は、2014年のNHK連続テレビ小説『花子とアン』の主人公です。この方も馬込の文士だったんですね。今では『幸せの王子』とか『幸せな王子』とかいろいろな翻訳で読むことが出来ますが、初めて日本語に翻訳したのが村岡花子です。馬込文士村を調べているうちに彼女がこの作品を本邦初訳していることを知ったものの、なかなか入手困難で、国会図書館でようやく読むことができました。子供向けの平易な、しかし格調溢れる文体です。それを短くして舞台化します。王子の見せ方が見ものです。(写真2枚目 村岡花子)

「リーディング公演」に続く第2部は、「トークイベント」
馬込文士村で文士たちに愛された名物の古書店「山王書房」の店主・関口良雄氏(故人)の著作『昔日の客』(ピース又吉氏が絶賛!)を中心に構成します。ゲストは店主のご子息・関口直人氏と、この幻の著書を再版した夏葉社[なつはしゃ]代表の島田潤一郎氏です。
簡単に「馬込文士村」についての説明をしてから、お二方に当時の文士たちの暮らしや、互いの交流、それぞれの人柄などについて、お話しいただこうと思います。先日関口さんとお打合せをさせていただいたのですが、ちょっとした雑談のつもりが、あっという間に1時間も話し込んでしまいました。
『空想部落』を読んだ時に感じた、昭和初期の意外な違和感についてもお話を伺いたいと考えています。

「③」の配信映像の後、「編集後記」的に撮った映像が下記です。
ご興味があれば、ぜひ「聴いて」いただきたいと思います。

https://www.facebook.com/tmkt4306/videos/2380881135500777/

11月20日のプレイベント、お待ちしております!

安田雅弘

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11月20日のイベントは 応募フォーム よりお申し込みください。

観劇のハシゴができる演劇祭①
観劇のハシゴができる演劇祭②
観劇のハシゴができる演劇祭③

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