公演情報
えずこシアター第11回 演劇公演 どうじょうじ
作=えずこシアター
構成・演出=倉品淳子
日程=2008年9月6日(土)・7日(日)
会場=えずこホール(仙南芸術文化センター)・平土間ホール
鐘に入れられたのは誰?
ある俳優が言いました。「このお話は、女が男を勝手に思って、勝手に蛇に変身して勝手に追いかけて、鐘にとじこめて焼き殺すという、本当にひどい話じゃないですか。なのに、なんで私たちはこの話を聞いて、この女の人をかわいそうって思うんですかねえ。不思議ですよねえ。」
日本人の特に女性は、このお話が大好きみたいで、山の手事情社の「道成寺」の公演終了直後、泣きながら清姫を演じた私に抱きついてきた初対面の若い女性がいたぐらいです。
前回に引き続き今回もテキストは俳優が作っています。
ショートストーリーズという寸劇部分は、この話を、「出会い」「すれちがい」「破滅」という3つのテーマに分け、作成したものです。そのほかに、ピンという一人ネタのシーン「道成寺」について調べて、なんでもいいから発表してください。という全く乱暴な課題からできたものです。
実を言うと、当初テキストを使わないで、「道成寺」を作れるとは思っておらず、かなり最後の方までなんらかのテキストを使うことを考えていました。歌舞伎、能、近代文学、古典など本当にさまざまな形があるこの作品ですが(それだけでも、日本人がこの作品を愛していたことがわかりますよね。)私たちの「どうじょうじ」にしっくり馴染むテキストはどうしても見つかりませんでした。それだけ私たちの「どうじょうじ」の色が強く、特定の作品の色があわなかったのだと思います。
そんな、断片ともいうべき部分をつなげて見えてきたのは、
もしかしたら、男性が女性によって鐘に入れられているのではないのではないか?
蛇になってしまうほどに追い詰められてしまった清姫は安珍に心を閉じ込められてしまったのではないか? 本当に鐘に入っているのは、実は女性の方なのではないか? という考え方です。
そこに、えずこシアターバージョンのまったく新しい「どうじょうじ」は誕生しました。
男と女の間には深くて長い川があるそうです。いつの世も、どうしようもなく求めあい、傷つけ合い、それなのに最後まで分かりあえない、男と女の悲しい姿をえずこシアターメンバーの身体を通してご堪能ください。
今回、私はコンセプトまでも俳優と一緒jに作りました。コンセプトが確定したのは初日直前です。そんな創造的な場所と時間を作ってくれたえずこシアターに、とても漠然としたアイデアを迷いなく形にしてくれたスタッフに、そしてこの作品を見に来ていただいた大勢の皆様に、多大なる感謝をささげます。
構成・演出/倉品淳子
スタッフ
演出助手・音楽=岩淵吉能
衣裳=寒河江真紀
照明=村上真紀
音響=板橋隆之
大道具=日下博幸 南部敏典 ロバート村上
舞台技術=名郷根秀浩 菊池拓哉(東北共立)
宣伝美術=福島 治(福島デザイン)
映像記録=大浦利昭
制作=えずこシアター
2008年9月6日(土)・7日(日)
一般 1,000円
学生 500円
(当日各200円増)
えずこホール(仙南芸術文化センター)・平土間ホール