公演情報
劇団山の手事情社20周年公演第一弾
満開の桜のもとで「再生」を祈る。
「道成寺」をめぐる三つの伝説。ひとつは「黒髪縁起」。髪長姫(かみながひめ)の物語。髪の毛の生えてこない娘の生前の罪をつぐなおうと、海の底から出るあやしい光にむかってもぐる母。母の毛にからまった黄金の仏像の霊験で娘・宮子姫はすばらしい髪の持ち主となり、ついには聖武天皇の生母となる。二つめは「鐘巻縁起」。有名な安珍清姫の物語。熊野詣での若僧・安珍に清姫が恋慕し、約束を裏切られたことから大蛇となって、道成寺の釣鐘に隠れていた安珍を鐘もろとも焼き殺す。三つめは鐘の再興供養の場に白拍子があらわれ、鐘に対するうらみを述べて蛇体となるものの、僧の供養で成仏する「鐘供養」。
二つめ、三つめの話をもとに、能『道成寺』、歌舞伎『京鹿子娘道成寺』、浄瑠璃『日高川入相花王』をはじめ、日本舞踊、数多くの民俗芸能、郡虎彦や三島由紀夫の戯曲と多くの芸能が発生した。なぜ日本人はこれほど「道成寺」の話に惹かれるのか。日本人であることと「道成寺」にはどのような関係があるのか。私たちにとって「道成寺」とは何か。
「道成寺」は能として完成されてから、その時代時代の新しい表現とともにあった。能では現在、能楽師が一人前として立つための卒業試験の意味あいがあるという。能のもっとも能的なものが凝縮しているということなのだろう。 歌舞伎でも数多くの「道成寺」物が作られ、演者はおのれの得意分野をそれぞれの作品に仮託して芸を競いあってきた。「娘道成寺」はその代表的なものだろう。伝統に依って考えるなら、「道成寺」とは、日本人がその時代の新しい考え方、得意な技を駆使した作品をつくるのに適した作品だと言えるのではないか。 早春の道成寺や熊野路を旅して感じたことは、私たち日本人があの地域に強く惹かれるのは、再生のイメージのためではないか。しかも満開の桜のもとで、私たちの先祖は「再生」を祈ってきたのである。
[安田雅弘]
スタッフ
照明・舞台美術=関口裕二(balance,inc.)
音響=斎見浩平
衣装=渡邉昌子
宣伝美術=福島治
チケット取扱/問合せ
舞台芸術財団演劇人会議 東京事務所03(3951)4843/利賀事務所0763(68)2356
[ 料金 ] 全席指定 前売 4,000円 ・当日 4,500円
学割 2,500円(前売、劇団予約のみ、受付にて学生証提示)
[ お問合せ ] 山の手事情社/UPTOWN Production Ltd. 03-5760-7044
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