公演情報

[2009年]SPAC夏物語2009 走れメロス

SPAC夏物語2009 走れメロス
構成・演出=安田雅弘
原作=太宰治
日程=2009年8月7日(金)~9日(日)
会場=静岡芸術劇場

 劇場とはどういう場所なのでしょうか。はじめての方も多いと思いますので、そのお話をいたしましょう。
 劇場は、この世にない「たましい」と直接出会う場所です。ウソだろう、と思うかもしれませんが、本当です。劇場以外の場所では、この世に存在しない「たましい」には、じかに遭遇できません。あえて例外をあげるとすれば、夢の中くらいでしょうか。ほかで会うのはなかなか難しいと思います。
 不景気だと騒いでも、日本にはまだモノが溢れています。長い日本の歴史の中で、こんなにモノに不自由しなかった時代はないのです。でありながら、駅ビルや商店街やアウトレットモールをどんなに探し回っても、この世にない「たましい」と出会うことはできません。
 テレビや映画でも多くの「たましい」を見ることは可能です。では、そうした映像にアイドルが出てきたとして、直接出会ったと思えるでしょうか。同じ場所で同じ空気を吸っている「たましい」は、ハイビジョンなどよりはるかに鮮明で解像度が高いものなのです。この臨場感こそがライブの魅力です。
 では、そうした「たましい」との出会いにはどんな意味があるのでしょうか。それは、世界を見つめる視野が広がるということです。私たちが今生きていることの背景には、すでに失われた多くの生命があり、まだ出会っていない、同じ時代や未来の多くのいのちがあります。日常生活の忙しさに追われて、ともすれば忘れてしまいがちなそうした「たましい」に、人間はときどき思いをいたさなければなりません。そうしないと目の前のことだけが全ての判断基準になり、鉛のような孤独感にさいなまれ、戦争を起こしたり、過剰な環境破壊をくりかえすことになります。一見平和な私たちの社会で、自殺やリストカットをする人の数は減ることがなく、うつ病やひきこもりに苦しむ人が少なくないことの原因も、ひとつにはそのことがあるように思います。
 ぜひ舞台上に、メロスの「たましい」をさがしてください。そして出会ってください。メロス以外の登場人物にも、そしてひょっとすると太宰治の「たましい」にも出会えるかもしれません。俳優は自分の肉体にそうした「たましい」を呼びこむべく、日々鍛錬を続けています。この出会いが、みなさんにとって新鮮で意味あるものになることを期待します。/安田雅弘

構成・演出

安田 雅弘

キャスト

大内 米治
大道無門 優也

公演スケジュール

2009年8月7日(金)~9日(日)

■チケット

夏休みスペシャルチケット

おとな          2,000円
こども(高校生以下) 1,000円

■会場

静岡芸術劇場

主催
財団法人 静岡県舞台芸術センター
後援
静岡県教育委員会、静岡県私学協会、静岡新聞社・静岡放送、静岡第一テレビ、あさひテレビ、テレビ静岡、VIC TOKAI コミュニティチャンネル、K-MIX
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