公演情報
えずこシアター第13回 演劇公演 女殺油地獄
原作=近松門左衛門
作劇=えずこシアター
演出=倉品淳子
日程=2010年7月10日(土)・11日(日)
会場=えずこホール(仙南芸術文化センター)・平土間ホール
えずこシアターで演出を初めて4年、えずこホールにくるようになってからもう5年にもなる。当初、お芝居の中で喧嘩をするのさえいやがっていた彼らが星の数ほどある題材から今回選びとったのはなんと「女殺油地獄」。与兵衛という男がお吉という年上の女性を恋愛感情もないのに殺してしまう話だ。
そんな話を選ぶ人たちではなかったと記憶している。人はずいぶんと変わるものなのだと思う。
ここ数年の彼らの成長は、目を見張るものがある。この三年間の継続と蓄積は昨日今日集まった集団には出せない力があると自負している。
また、彼らは自分の中にある表現衝動にどんどん自覚的になってきている。創作の課題を出すと、ほかの場所だと、たとえば演劇の専門学校でさえ、ひとつもできなくて稽古を休んでしまう人もいるほどなのに、ここでは二つ三つ持ってくる人がざらにいる。もうプロの領域に片足をつっこんできている。
この作品に決定した大きな要因の一つにある参加者の発言がある。彼は、「僕は、与兵衛だ。与兵衛の気持ちがよくわかる。」と言った。
歌舞伎の人気演目であり二枚目の代名詞、片岡仁左衛門の当たり役の与兵衛を自分と一緒だと言い放ったのだ。
それは、この作品の中にある現代性に可能性を感じた瞬間だった。江戸時代に作られた作品が時代を超えて現代を映す鏡になるかもしれない。彼らがどこまで与兵衛にせまれるのか?与兵衛はなぜお吉を殺さなければならなかったのか?それは、私たちのほんの隣にあることかもしれないのだ。世界は殺人が起こる前か、その後の部屋で満ちているから。
シアターは次の段階に踏み出す。シアターと私の関係はここで一つの区切りをつける。
私はもう一度勉強をして新しくなって帰って来たいと思っている。皆様これまで本当にありがとうございました。これからもどうか、えずこシアターをよろしくお願いいたします。
最後に、この場所に出会わせてくれた方々。この場所で出会った多くの方々。この場所を継続することにご尽力いただいている方々に、大きな大きな感謝をこめて。
最後までごゆっくりごらんください。
演出/倉品淳子
スタッフ
演出助手=岩淵吉能
衣装=竹内陽子
音響=川村和也 板橋隆之
照明=佐久間彩香 長谷野美和子 長谷野勇希
舞台技術=株式会社 東北共立
記録映像=湘南映像
制作=えずこシアター
2010年7月10日(土)・11日(日)
【全席自由】
前売 一般 1,500円(当日1,700円)
学生 500円(当日600円)
えずこホール(仙南芸術文化センター) 平土間ホール